『横浜市復興会誌』 (横浜市中央図書館所蔵)より
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■マーシャル・マーテン(C.K. Marshall Martin: 1862-1949)は、関東大震災後の横浜の復興に尽力した英国人貿易商です。少年期に父に連れられて来日し、主に石炭の輸入に携わるかたわら、新たに横浜にやってくる外国人に日本語を教えたり、裁判所の通訳を引き受けたりと、社会活動にも貢献しました。特に、震災後は、居留外国人が持つ山下町の永代借地権を日本に返還するために、報酬も取らずに借地権者の説得に世界中を駆け回ったそうです。横浜開港百年祭では、ヘボン、パーマー(横浜の水道と築港の功労者)と同列に顕彰されています。「マーテン」は今風に綴るなら「マーティン」ですが、ヘボンさんと同じく、敬意を表して地元の呼び名を使わせてもらいます。なお、マーテンについては、『横浜山手・日本にあった外国』(鳥居民著・草思社刊)に詳しく書かれています。また、震災当日、たまたまフランス領事館でその崩壊を目の当たりにし、フランス領事の最期を見取ったマーテンの手記が『横浜市震災誌』に載っています。
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